少し前に、ある本に紹介されていたこの本。
どこかで見たことがある…と家の中を探したらありました。十年くらい前に、筑紫哲也さんがテレビで紹介していて、ダンナが興味を持って買っていたとのこと(やるじゃん!)。
この本は江戸の終わりから明治のはじめに日本に来た様々な外国人が日本について書き記した手紙、報告書、旅日記などを、筆者の目を通してまとめ直したものです。工業化以前の社会、工業化以降の私たちの社会の豊かさと比べると物質面では比べものにならないくらいに貧しいけれど、庶民がみんな驚くほど豊かなのです。風景と工芸品の美しさ、貧しい人も含めて、社会全体にゆとりがあってすごく心豊かであることに驚く外国人が多かったようですね。
一部抜粋。
「日本には、礼節によって生活をたのしいものにするという、普遍的な社会契約が存在する。誰もが多かれ少なかれ育ちが良いし、『やかましい』人、すなわち騒々しく無作法だったり、しきりに何か要求するような人物は、男でも女でも嫌われる。すぐかっとなる人、いつもせかせかしている人、ドアをばんと叩き付けたり、罵言を吐いたり、ふんぞり返って歩く人は、最も下層の車夫でさえ、母親の背中でからだをぐらぐらさせていた赤ん坊の頃から古風な礼儀を教わり身につけているこの国では、居場所を見つけることができないのである」
なんだか現代では耳の痛いことですが…。
「大切なのは、在りし日のこの国の文明が、人間の生存を出来うる限り気持ちのよいものにしようとする合意と、それに基づく工夫によって成り立っていたという事実だ。」
どこから方向が変わってしまったんだろ。
やっぱり好きだな、ニッポン。